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ファシリテーション・グラフィック―議論を「見える化」する技法


PF(プロジェクトファシリテーション)の原則でいうところの、「問題対私たちの構図(Problem vs. us)」をいかにより良く作り上げ、議論の道筋を整えていくかという手法が満載の一冊。いかに「描く」かというテクニックが文字の書き方、図解の使い方など様々な内容が書かれている。
しかし、著者は言う。

ファシリテーション・グラフィックの良し悪しは、文字や色の美しさや図解の使い方でもなく、要約力で決まるといっても過言ではないでしょう。

そのための、ロジカルリスニングの手法や、発言の取り上げ方、要約文の作り方などもしっかりと説明されている。

この本の副題にもついている「見える化」という言葉、ご存知の方も多いと思うが誤解されることが多い用語である。「見える化」といって、ただ単に壁に紙を張っているだけのケースをよく見聞きする。それでは何の意味もない。ただ見えるだけなのである。それは無い事と等しい。
では、本当の「見える化」とは何なのか?もっとストレートな言葉を思いつたので書いておきたい。それは「語る化」である。なんとなくどんくさい響きだが、それその通りの言葉なので仕方が無い。「語る化」とは、その名の通り、そのものが「語る」ようにするということだ。たとえば壁に貼った現在の進捗状況のチャート自身が語るのだ。想像してみて欲しい。

あなたはオフィスの中を歩いている。けたたましくなる電話の音と、せわしなく響くキーボードの打鍵音。少し斜めに体を倒して、無表情でディスプレイを眺める新人。机にひじをついて頭を抱えるマネージャー。視界の右隅に何かがうつったその瞬間、「進捗ギリギリやねん!!」。思わず目を凝らすとそこには進捗チャートがはられていた。

かなり意味不明だが、なんとなく想像いただけただろうか?人は普段は何かを特別に意識していることは無い。様々なものに薄く広く意識を向けている。そのため、ただ壁に貼られているだけだと、"見える"かもしれないが、そこに意識は集中しにくい。意識を集中させようとすると、そのものに興味を引かせなければならない。興味を引かせるためには相手に自分のことを教えなければならない。教えるためには語らなければならない。そう「語る化」だ。もっとかっこいい言葉を当てはめるとアフォードしている必要がある。アフォードせずして「見える化」は成立しない。つまり「見える化」=「語る化」だ。

ファシリテーション・グラフィックもグラフィック自体が議論の状況・状態や道筋を語るように描く。そうすることで意識が集中し、グループメモリを共有することができる。


キーワードは「語る化」だ。


手前の文章は本とはだいぶ筋道が離れてしまった。最後に本に話を戻すと、今までに無かった内容のである。ホワイトボードを活用するや、付箋を使うなど今までも話には触れられていたが、表面をなぞる程度であった。それをこの本は深く追求し抉りこんでいる。デスクの傍らに置いて、打ち合わせの前に目を通したい一冊だ。


読め、そして描け。