デザインにひそむ〈美しさ〉の法則

デザインにひそむ〈美しさ〉の法則 [ソフトバンク新書]

デザインにひそむ〈美しさ〉の法則 [ソフトバンク新書]


タイトルの通り、美しさの法則について黄金比や白銀比、三分割法などなどを身近な例を用いつつ非常に分かりやすく解説してくれている。しかし、たぶん本書の核心はそのような法則や技術ではなく、もっと別な部分である。それは以下の一文から読み取れる。

もし人がものの美しさに関心がなく、美に快感を覚えないのであれば、デザイン行為は不要です。しかし、人にはモノを見て「美しい」と感じる力があり、美しいものを見ることに快感を覚え、身近に置いて使うことに喜びを感じます。

つまり「デザインは人に喜びをもたらす。」「デザインは人を幸せにする。」ということ。
前半は最初に書いたような内容や、人間工学的視点での法則や稜線の話などなど。後半からは土地や歴史などのコンテキストによって求められるデザインの違いの話、さらにそれをもってしてのユニバーサルデザインの話。

すべての人が満足するモノや施設や環境を整備することは難しいことですが、それでもあきらめずに選択肢を増やしていくこと。それがユニバーサルデザインのコンセプトなのです。

本書は私のように普段からデザインを主としておらず、デザインを使う側(つまり大多数の一般)の人に是非読んでいただきたい。きっと、家の中にあるちょっとした小物や普段何気なく手にしているものなどのデザインに意識が向くようになる。意識が向いたデザインの奥に何か新しい発見があれば、それは今まで気がついていなかった幸せなのかもしれない。